その1 点の色付け(標高)
点群に高さに応じた色をつけることで物の境界がはっきりと区別できます。(左)単色、(右)標高
その2 点の色付け(RGB)
点群に写真からの色を付けたものです。オルソ写真だけではなく、ななめ写真も利用すると見た目が良くなります。多視点画像からのSfmではそれだけでリアルなモデルに見えます。
[SfMによる点群データ]ヘリコプターに搭載したマルチカメラ(直下視・前方・後方)で撮影した名古屋駅周辺。作成される3次元モデルは死角が少なく、色もきれいです。
その3 点の色付け(反射強度)
レーザの反射強度(または反射率)は、反射した物体の特性を表します。道路の白線や家屋の屋根の材質など、高さではわからない物の区別が可能です。
(左)標高、(右)反射強度
その4 色の重ね合わせ
複数の情報を重ね合わせることで細かく分けることができます。左図では、反射強度を明暗にし、高さの段彩図に重ねたものです。高さの違いや物性の違いを識別に利用できます。
Mierreでは点の色付けを選択できます。
・RGB
・標高 [画面内最適化/ループ/最適化追従]
・分類クラス
・単色
・視点からの距離
・反射強度 [画面内最適化/ループ]
・標高+反射強度
・地形起伏
・斜面方位
点群をそのまま表示するだけではなく、視点から死角になる点を非表示にすることや内挿補間・陰影処理を行うことでオーバハングした地形や橋の裏側など、測量ソフトでは扱うことが難しい対象でも可視化できます。
[距離マスク]奥行のある点群データの裏側を隠すことで視認性が高まります。壁や看板の裏側の点が消え、街灯や避雷針などのエッジが際立ち、立体感が増します。
[補間陰影処理] 距離マスクをしたデータを内挿補完し、陰影をつけ凹凸を強調します。
(左)点群表示 (中央)距離マスク表示 (右)陰影表示
地上レーザによる大仏計測 [リーグルジャパン(株)提供]
Mierreでは表示の切り替えをボタン1つで変更できます。
左クリック:補間陰影処理 ⇔ 点群
右クリック:距離マスク⇔ 点群
点群の面的表示には手間も時間もかかりません。一瞬です!
[点群の濃淡表示(透過表示)]
点群の点密度に応じた濃淡(透過率)によりエッジを強調することで、3次元的に重なる場所でもメリハリのある表示ができます。森林や室内を観察する際に、補間陰影では表層のみが可視化されますが、濃淡表示では、表面となる枝葉や壁の向こう側を見ることができます。
補間陰影表示のさらなる工夫
Mierreでは点群を面的に見せる補間陰影表示に加え、様々なフィルタにより立体感を出すことができます。例えば、アンビエントオクルージョンというレイトレーシング演算を簡易に行う機能がありますが、凹凸に応じて陰陽が変化し、平らなものと円柱を明瞭に見分けることができます。
補間陰影表示:アンビエントオクルージョン(金属)
下図はフィルターのパラメータを少し変えて、優しい色合いにしたものです。こちらは装飾品のカメオを手本にしたものです。まだまだ発展途上ですが、いろいろな表現ができるのがMierreの良いところです。
補間陰影表示:アンビエントオクルージョン(カメオ)
断面表示は測線上(任意の幅)の点群だけを表示したものです。水平距離と高さ(L-H)で管理されており、定量的に評価ができます。点群データなのでどこでも瞬時に作成ができ、特にレーザ計測では階層構造(樹木の地形)も確認できます。
Mierreでは点群断面を3回のクリックで作成できます。断面表示のズームや前後の断面への移動もマウスで簡単にできます。
マウス追従による断面
斜面の調査では、散在する転石毎に断面を確認する必要があります。数百、数千もの断面を切るためには工夫が必要です。
Mierreではマウスを追従し、その地点のクロス断面(横断、縦断)をリアルタイムで表示します。ユーザはマウスをあてるだけです。
<差分の取り方>
積雪深や土砂変動(侵食・堆砂)調査ではDEMの高さの変化(鉛直差分)のみを計算することが一般的ですが、点群データの利用はそれだけではありません。物の有り無しの変化や、海岸斜面の後退を正しく表現するため、Mierreでは二時期の変化を視線方向の距離の差と考え、視点に合わせてリアルタイムに差分を計算し表示します。
<差分以外の可視化>
変化の可視化は差分だけではありません。二時期のデータを2画面で同期するビュー操作、色分けして断面表示すること、二時期のデータを高速に切り替えるパタパタ動画など、状況に応じた多彩な見せ方が必要です。さらには、変動量の三次元的な動きをベクトル化する機能は地すべり調査で有効なツールとなっています(ベクトルツールは提供しておりません)。
<データ間の調整>
比較したいデータの位置が整合していないことがあります。例えば、数cm程度の系統的なオフセットや、地震による地殻変動で基準とする座標系がシフトしていることもあります。地上レーザなどでは、水平面が正しく調整されていないもの、さらにはローカルな座標しか持っていないものまで比較対象になります。Mierreには座標の調整機能があります。変化を見ながらオフセットを取り除いたり、お互いのデータで位置を合わせたうえで、細かな変化を抽出することができます。
S-DEM DEM(Sub-stratum Digital Elevation Model: 下層モデル)は、航空レーザ測量の点群を用いて植生下の地形を詳細に可視化する手法で、千田・高野(2012)により開発されました。グラウンドデータを基にオリジナルデータの再解析をすることで、起伏の激しい斜面やオーバハング地、転石が分布する斜面が高精細化されます。
DEM(50cmメッシュ)とS-DEMの比較
左図:50cm DEM, 右図:S-DEM (クリックすると大きくなります)
上図:50cm DEM, 下図:S-DEM(クリックすると大きくなります)
元は同じグラウンドデータ(ヘリコプターに搭載した波形記録方式の航空レーザ”SAKURA”による25cm密度計測)ですが、DEMでは表現できないオーバーハング地や転石などをS-DEMでは詳細に確認できます。(ここは裸地ではなく、森の下です!)
地上レーザやハンドヘルドスキャナーによる室内計測では、データの閲覧に壁や天井などを非表示にするクリップ機能が欠かせません。
Mierreには点群を分類や削除することなく非表示にするクリップ機能があります。いずれもワンアクションもしくは数クリックでできるため、複雑な点群の任意の場所を楽に観察することができます。
Z(高さ)クリップ:
クリックした地点の高さより上(または下)を非表示にできます。
例えば、室内計測データの閲覧では、天井より上を隠すことで、室内の間取りを俯瞰することができます。クリップする高さは任意で変えることができるので、各階ごとに確認できます。
また、床面を消すことで、天井を下からから見上げることもできます。
前面クリップ:
任意のラインより前面のデータを非表示にできます。
例えば、室内計測データの壁を非表示にすることや、立面図を作成する際に邪魔となる手前の物体を隠す際に利用できます。
前面クリップには、クリップ位置を固定するモードと画面の中心付近を自動的にクリップ位置にする(追従モード)があります。
半径クリップ:
表示画面の中心付近の点群だけを表示します。
データの重なりが複雑な森林や市街地で、特定の場所だけを表示できます。マウス操作に連動しており、特別な操作をしなくてもクリップ位置を追従してくれます。
なおクリップ位置を固定したモードもあります。
これらをうまく使うことで、建物が屋根から徐々に消えていく動画や、壁を通過しながら建物内を散策する動画が作成できます。
素掘りトンネルをターゲットとした計測データの紹介です。ハンドヘルドスキャナーZEB1によりGPSの受信できないトンネル内を簡単にくまなく計測することができます。
一方で、トンネルや建物内部はオバーハングや遮蔽物が多いため点群データのノイズ除去や可視化が難しい課題もあります。中日本航空(株)の点群ビューワ”Mierre”ではマニュアルによるノイズ除去、複数データの位置合わせなどの処理機能に加えて、クリップ機能や補間陰影表示による可視化技術が組み込まれており、簡単にデータを閲覧できます。
[分類機能]
点群データの各点には分類情報(クラス)があります。分類を利用すると非常に効率的に点群を扱うことができます。Mierreにはクラスを使った機能やクラスを操作する編集機能をつけています。
・分類による機能
-表示、非表示機能
-分類間の差分解析
-分類ごとの座標変換
・分類編集
-枠内の分類変更
-ブラシを使用した分類変更
-高さによる分類
ー地表面抽出